翔ぶが如く
発表年: | 1972〜1976年(司馬さんの年齢:49歳〜53歳) |
発表媒体: | 毎日新聞 |
本の出版社: | 文芸春秋 |
主人公: | 川路利良、西郷隆盛、大久保利通など |
川路利良は、日本の警察を作った人です。鹿児島県出身で西郷隆盛のもと戊辰戦争で活躍しました。
後に西郷とわかれ大久保につき、西南戦争では政府側になりました。
西郷隆盛は、あまりにも有名ですが、幕末に薩摩を率いて討幕の立役者になった人物です。
後に、大久保利通に征韓論でやぶれて遁世しましたが、不平士族に担ぎ上げられて西南戦争を起こしました。
そして西南戦争で敗れて、鹿児島市城山で自決しました。
大久保利通は、幕末では西郷の盟友で維新の元勲の一人です。
ちなみに維新三傑をいわれている人物は、西郷隆盛、大久保利通、木戸孝允です。
大久保は、征韓論で西郷と敵対して、西南戦争では政府側に立ちました。
西郷が自決した同じ明治10年に東京紀尾井坂で不平士族によって暗殺されました。
この小説は、征韓論から西南戦争までを描いています。
西郷や大久保の政策や考え方に関する心理を見事に書いています。
又、西南戦争最大の激戦になった田原坂の戦いの描写も見事です。
大作ですのでじっくり腰を落ち着けて読まれることをおすすめします。
予断ですが、明治政府は、初期に、廃藩置県や四民平等を実行し、革命勢力の中心である藩や武士を廃止しました。
当時の日本のおかれた状況からして、一歩間違うと西洋列強の植民地になっていた可能性があるので、
これらの政策を実行しやすかった状況はあると思いますが、自分の身を切るような政策を断行したことに、明治政府の英慮を感じさせます。
果たして、今の日本の人々(自分の含めてですが)に、自分の身を切るような政策が実現できるでしょうか。